2023年08月24日

ふるさと納税について

ふるさと納税に関して制度が始まってから弊社からも商品の提供させていただいておりましたが、この夏で一旦提供を見合わせる事にいたしました。

ふるさと納税とは、住んでいる自治体以外の自治体に寄付をすると税金が控除される仕組みで、多くの場合寄付を受けた自治体から返礼品が受け取れます。

わざわざ寄付をしていただいた方へお礼として自治体が地元の特産品を送る、と聞くとごく自然な感じがします。また、新型コロナの影響で観光客が減った地方にとって助かるケースもあったかもしれません。弊社も僅かですがコロナ禍の時期に提供させていただいて、ご支援を受けているという気持ちと僅かながら貢献しているという思いでいました。

しかしながら、ふるさと納税を取り巻く環境が変化し自治体間の競争が加速し、拡大していく流れの中で弊社の商品の生産量や性質、販売環境等を考慮するとこのまま続ける事はできないと判断いたしました。

ふるさと納税は住んでいる自治体以外に寄付をする方が得な仕組みです。現在は寄付というよりお得という部分に注目が集まり弊害が出てきているようです。細かい説明は割愛しますが、今後制度の見直しがある予定で良い風になれば、と思います。

個人的には地方にある、または新しくできたまだ一般的に価値の定まっていないようなものが返礼品として用意され、寄付する側も損得関係なく面白さや応援的な感覚で選ぶみたいなのが良いのかなあ…と思います。


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2023年07月14日

特別純米

毎年夏にリリースする特別純米。毎年年末に発売している恵田を意識して造るお酒とし2021年誕生しました。恵田は年末にすぐに無くなってしまうので、飲めない方もたくさんおられるということで代替とは言えないまでも何か必要な感じがしていました。またお酒の販売が落ち着く夏場にひと山作りたいとうビジネス的な動機もあります。また恵田が好まれる理由にも興味があります。味なのか、デザインなのか、有機栽培米だからなのか、ストーリー性なのか、名前なのか笑。

味に関しては米の品種と酵母等を揃える事で多少近づける事はできます。また全く同じではなく寧ろ精米歩合を下げ(精白を高め)より香味の洗練を狙っています。

意外に労力を注いだのがデザインに関してです。恵田との繋がりを考え、恵田のデザインをされた宮田裕美詠さんにお願いしました。絵画使用のアイデアは早い段階で宮田さんから提案があったもののそこまでピンと来ないまま酒造りに入ったのですが、酒造り中に特別純米を造る事の意味や恵田との関係を考える中で、宮田さんと相談を重ねる内にやはり絵画での表現がベストという事になり、最終的に現在の形になりました。

抽象的なデザインですが、意図した部分もあります。ここで少し解説しようかと思いましたがやはり野暮な感じもしますのでやめておきます。自分は時間を経る内に新たな意味を付与したり発見したりして楽しんでいます。
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2023年05月31日

恵田の田植えを終えて

今回は、というか今回もお酒の中身とはあまり関係のない読みにくいブログです。

先日恵田の田植えがありました。平成26年からやってくださっている前佛さんも自然なかたで淡々とあたりまえのように有機農業をされています。今年は有機栽培を続けるモチベーションというか欲求というか、そんな事を色々尋ねてみたのですが、様々な事をおっしゃってくださったのですが、こちらの勝手な解釈ながらも総合すると、彼にとって自然な事であるというか向いているというか、しかしそれはたぐいまれな素質である、と思いました。

自分としてはどうでしょう。恵田ついて一度じっくり自分の中で整理し言語化する必要を感じていました。

平成21年からスタートした恵田ですが、最初は酒屋さんのお客さんに米農家さんがおられて地元の米でお酒を造ってはどう??みたいな提案があった事がきっかけです。生産者がおられて販売もなんとかなりそう…興味が無いわけではないので好奇心みたいなもので始めても大丈夫そうなハードルの低さ(農薬をまったく使用しない事が決まったのは後になってから)、そしてビジネス的な打算もありました。

恵田に関しては取材もよく受けました。社会から期待される食の安心安全、地域活性化、自然環境保護等の類はメディアのコンテンツとして需要が高いからです。恵田はそうした社会的ニーズに対応した商品に映るのでしょう。また、そうした社会問題に挑む蔵元像も同様です。しかしこちらはあまりご期待に応えられず、自分としては食の安心安全や地域活性化、自然環境保護は目的ではなく(多少あったとしてもそれらを一義的に強く思っているわけではないため背負いたくない)、商品そのものの魅力(中身の品質やデザイン等)を重要視したいので、意識してそういう言葉を使用しないようにしたためコンテンツとしては消化不良となったかもしれません。
蔵元は聖人君子を期待される…と自分には勝手なイメージがあり、自分のこうした意識の低さ、俗人さが自分を長年モヤモヤさせ言語化したい理由につながっています。

前回のブログで紹介したフロムの『自由からの逃走』はひとつのヒントをくれました。ある時代の良心とされるものについての箇所を引用すると、

"人間が自分のものと信ずる願望や目的にしたがって行為するようにかりたてるが、その願望や目的は、じつは外部の社会的要求の内在化したものである"

とあります。自分は社会的要求の内在化に対し意識的に抵抗している部分もあるのかと思いました。そして自分自身が自発的に欲している事を認識するのは案外難しい事だと感じます。もしかすると無意識的にあたりまえと感じている事をアピールする事に抵抗感があるのかもしれません。

今読んでいるのは鈴木大拙の『禅と日本文化』ですがまた何かヒントを得られそうな気がします。
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2023年04月20日

令和4酒造年度の酒造りを終えて

令和4酒造年度の酒造りを薄く振り返ります。今年のお酒に良い評価をくださる方が多い一方で、自分はまだ半信半疑です。しかし、あまり利き酒には自信がないのでその評価は正しいのでしょう。自分としては昨年の方が良い(好み)ものもある感想です。

好みというのは難しくて、豊かに満たされたものを好む人もいれば、どこか欠けたものに美を感じる人もいます。さらに現在の日本酒業界はより多様で相対主義的なポストモダン??の様相です。自社のお酒をどうしたら良いのか、アイテムによって、年度によって、流行も多少踏まえつつ抗いつつという感じでしょうか。。

さて今年もポッドキャストを聞きながら酒造りをしていたわけですが、今年は週2日読書する時間を確保し本を読む事に挑戦しました。夜の麹の温度を待つ時間等をその時間にあてるのですがなかなか良かったです。今年はエーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』を選びました。自由や抑圧に対して分析した内容は自分好みのテーマであり、ナチスドイツの時代にユダヤ系の著者によって書かれた本書は、こもって読むのに最適でした。
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2022年08月22日

関心事

毎年この時期は大空襲、2度の原爆、敗戦と戦争を考える時期ですが、近頃は一年中戦争の事が頭にある気がします。終わりよけばすべてよし、結果オーライという言葉がありますが、目的の為の手段がちゃんとしたものでないと長期的に見て何か腐っていくような気がします。最近の元首相暗殺を発端とした一連の疑惑もそんな感じです。最も行くところまで行くと手段は限定されてしまうのでしょうか。

話は変わりますが今年は松本清張没後30年だそうです。昨年から少しずつ読んでいる本が偶然にも松本清張の晩年の作品『神々の乱心』でなんだかタイムリーです。読み終えたら遠藤周作『深い河』、その後は鈴木大拙辺りにいこうかと思っています。(鈴木大拙が流行っているので先にしようか、まあどうでもいいですが。)共通しているのは新興宗教、キリスト教、仏教…と、宗教に関わりがある事です。意識したつもりはないのですが関心があるのだと思います。自分が関心を持った事が世間的にも関心を持つ人が増えている事であるのはよくあることです。

今までは戦争と宗教に関して個々人が考えなくても良いようにこれたのですが、考えないといけなくなる時期が近づいているのかと感じます。
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2022年08月10日

R3BY振り返り


R3BYの酒造りも終えても期限のあるような仕事等をしていたらいつの間にかこんな時期になっていました。酒造りを振りかえってみると、相変わらず酒造りは難しい、という事を実感しています。色々考えて設計して造った新商品のお酒が、その作為性とは裏腹なお酒になっていたり、普段通りに造ったお酒に新商品で出す予定のニュアンスがでていたり。歎異抄でいうところの他力本願という言葉が頭に浮かびます。その難しさが酒造りの魅力かもしれません。最近酒造りが長い旅のように感じられ、なかなか結果に繋がらなくても、"旅こそが報い"というスティーブジョブズが好んだ言葉を知り自分もその言葉に癒される思いです。相変わらず単純作業の最中はspotifyのポッドキャストを聞いていて、単純作業の時間が自分に対するご褒美のようにも感じられるようになりました。手段の目的化という言葉は否定的な意味で使われる場合が多いけれども労働そのものが目的となる事はそんなに悪いことではないなと想像します。
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2022年05月18日

なかなか伝え辛い事ですが

いつもでしたら造りが終わった報告…といきたいところですが、恵田の事に関して優先させたいと思います。インスタグラムでアップしようと思いましたが長文になってしまったのでこちらにしました。

先日恵田の田植えがありました。今年は特に手伝うわけでもなかったのですが、現場では様々な事を感じました。

有機栽培農家の前佛明夫さんとの会話から伝わる農業の問題。環境や経済の事。そこから普遍的な問題、例えば多様性を尊重する社会、少数弱者救済への難しさ等を連想し、自分事として感じられました。

本をあまり読まない自分ですが昨年読んだ斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』に登場するグローバルサウスの問題や日常的に使われるようになったフェアトレード、最近よく聞くステークホルダー資本主義等といった用語は知識としてではなく実際の生活、仕事に落とし込む必要も感じています。

ここで恵田の話になります。少し悩みつつも正直に書くと恵田の原材料となる有機栽培のお米の価格は前佛さんの好意により低く抑えてくださっていました。こちらから何度かお米の価格を上げる提案もしていましたがやんわりと断られ長年甘えさせていただいていたというのが本当の話です(一度お気持ち分程上げさせてもらいましたが)。しかしながら昨今の燃料資材の高騰や前半で書いた事を踏まえてこのままの価格で続ける事はできないと感じ、今年は価格の改定をせざるをえないと考えています。又、恵田以外のお酒についても…と感じていて頭が痛いところです。

またご案内させていただきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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2021年08月11日

弊社と戦争 備忘録

敷地内の銅像。2代目の黒田義平の銅像です。寄付を募って農業用水をひいたとかなんとか。元々はこの地域の神社(今のとは別の)の近くにあったらしいです。

戦前は全身像だったそうですが、太平洋戦争で軍事物資の不足から当局に供出しました。
(空襲で壊れたという話も聞きますが誤った情報です)昭和56年に残っていた台座を移設し上半身のみ復元されたようです。

金属類回収令をwikiで調べるとなかなか興味深いです。やたら見かける裸婦像の謎も。

大切な銅像を奪われる被害と、もしかしたらその金属で作られた何かで何かを奪う加害…当時のつらい状況を想像します。

今年もまた8月15日を迎えます。太平洋戦争には様々な教訓が詰まっています。過去の被害と加害の歴史に向き合い考える事は、より良い社会になるために寧ろ前向きな事だと感じます。

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復元された上半身。
顔から肩までは供出せずに
とってあったらしい。
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4代目義弘が移設
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真ん中は3代目知義
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posted by CHIYO at 12:34| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月23日

R2BY終えて

R2BYの酒造りも終わりました。今年度は例年に比べ気温が低く、米が硬く溶けにくい年でした。結果にはあまり繋がりませんが毎年新たな気づきがあります。

そして今年も単純作業時はポッドキャストを聞いていました。関心があるのが哲学や宗教の話。神話や聖書の存在と、神という概念を利用せず世界の成り立ちを説明しようとしたギリシャの哲学。教会に対する疑問からはじまった宗教改革。ルネッサンス期に興った人文主義。フランス革命時の人権宣言。

様々な知識や教養を身につける事が自由を獲得する手段だとするリベラルアーツの考え方を実感しつつあります。21世紀は心の世紀といわれた記憶があります。いつになったら心の世紀が来るのか?と疑問を抱えていましたが、20年経った今、心の世紀は個人個人にそれぞれのタイミングで訪れるのだと感じます。
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2020年09月17日

snsにあげた投稿です

9/5

千代鶴 銘柄の由来

三代知義は明治38年日露戦争に従事。203高地の激戦に参加。弾3発。陸軍病院にて治療しその後能登の陸軍療養所に養生。九死に一生を得て帰還した。当時裏の 田で折々丹頂鶴が舞い降り遊ぶのを見て自分の生還を祝って来たものと解し、酒の銘柄を目出度い千代鶴と改名した。

上記は4代義弘が残した記録です。以前は銘柄の由来を聞かれると「曾祖父が日露戦争で傷ついて〜」と簡単に説明していましたが、最近は『203高地』でと細かく説明するようにすると反応が違ってくることがあります。

丘から見下ろす旅順港や裏の田に丹頂鶴が遊ぶ様子が目に浮かんでくるようです。

115年前のポーツマス条約調印に寄せて


9/17

全国的にひやおろしが定着してきたようです。
ひやおろしは日本酒にとって理想(香りの高いお酒はあまり熟成期間とらない方が最適です、又生酒も素晴らしいです)の一つで、「ひやおろし」として並んで いるお酒は間違いが少ないと思います。

弊社には「ひやおろし」という名前のお酒がありません。ですが純米吟醸、純米、特醸と海洋深層水仕込みの純米吟醸は中身についてはひやおろしと言っても良いお酒です。程よく熟成し味わい深くなっているのを感じてもらえるのではないかと思います。

ちなみに純米大吟醸(ロゴマークの千と書いてあるやつです)は貯蔵温度の設定 を低くしているのでひやおろしというには苦しいかもしれません。

ひやおろしの定義は様々ですが冬に造ったお酒を火入れ(加熱殺菌)した後貯蔵 しひと夏過ぎて出荷されるお酒です。上記の方法は今ではそれほど特別な事では ありませんが、ひやおろしの起源である江戸時代には一般的ではなかったため、 特別なお酒として販売されました。

写真と短い文だけ投稿するつもりがつい長くなりますね(笑)
まとめると「ひやおろしは美味い」でよいです。
posted by CHIYO at 11:35| Comment(0) | 酒関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする