米の価格が上がるとか、酒米の作付が数割減っているとかの情報で、また来年の値上げに向けて計算とか説明的なものが必要になりそうで、毎年そんな仕事や作業がしたくないなと感じます。避けて通れないのですが。
もうちょっと前向きな事でアウトプットしたいと思ったので、6月初旬発売予定のお酒の説明をしてみます。お酒の細かい説明とかあまりしたくないのですがしなさ過ぎるのも良くないのと、表現したい欲求もあります。常にその葛藤があります。
コロナ渦で急に久々の新商品としてリリースしたrei ssue(冷酒)ですが、実はその萌芽は2014年にリリースしたお酒「千代鶴 冷やして飲みたいお酒」(冷酒)に遡ります。当時、毎年生産量が増える見込みで余計目に酒米を購入しておりまして、余剰の米で何か作ろうと考えていました。当時のブログでも軽く説明しています。2014年6月24日ブログ
http://chiyozuru.seesaa.net/article/400188010.htmlタイトル「泡を見くびるな」(キリンジの「雨を見くびるな」をもじりました)
以下そこからの引用です。
夏場にギンギンに冷やして飲めるお酒が弊社アイテムにあったらよいなと、ここ数年思っておりました。また、季節限定というかそういうコンセプトで出荷し、初夏に売り切ってしまえば温度管理による貯蔵の負担が少ないですし、日本酒需要の落ちる夏場に逆に売り上げを伸ばせる夢のような商品になる、、、という目論見、野心、策略、企て。(地域社会に貢献、エコ、、、それも良いでしょう。ただそれだけをモチベーションにするような、まっすぐな心は僕にはありません。)
引用ここまで
rei ssueのリリース理由にも似た部分がありますね。
2014年当時の酒質設計に関してはリンゴ酸やクエン酸は冷やすと美味しく爽やかに感じられる酸である事からリンゴ酸を若干多く生産する酵母を使用しました。酸が引き立つように日本酒度も高め(辛口側)に持っていきました。搾って生の状態でテイスティングすると白ワインの様な香味があり、これは売れると思いました笑。ところが火入れをして商品となったお酒はリンゴ酸の良さが感じられず、ただただストイックな辛口酒となってしまい、さらに商品名が「冷やして飲みたい」と謳っているのでお客様には苦行を強いてしまったと感じています。この失敗のトラウマと定番酒の需要増からその後夏酒がコンセプトのお酒のリリースは封印される形になりました。
ところが2020年から新型コロナの影響で感染が拡大するたびに飲食店への販売が減少しました。巷では家飲み需要に応えるような、キャッチーでライトでわかりやすい新商品が次々発売される状況になっていました。そこで、弊社も米が若干余り気味であった事と今まで販売が減る時期に取りこぼしていた需要に応える目的で、力を入れられなかった季節限定商品をリリースする事にしたのです。
お酒としては2014年の冷やして飲みたいお酒(冷酒)のリベンジが念頭にありました。お酒の名前のrei ssueは元々の英単語reissue(リイシュー)の発音が冷酒(レイシュ)に近い事と再発行する、復刻するといった意味がある事から名付けました。新商品であって新商品ではない。新商品が有り難がれ巷に乱発される事に反発したい気持ちも現れていたのだと思います。
酒質の方向の一つ目は甘めである事です。これは2014年の失敗の教訓からで、冷たくすると甘味を感じにくくなるのでそうしました。二つ目は白ワインの様な味わいを目指している事です。2014年の生の再現を目指しているのですが、この事は実は今まで誰にも言わず隠していました。しかし今期だけ酒造りに加わってくれたスタッフに、rei ssueは白ワインの様なお酒を目指しているが秘密にしている、という事を伝えると、既に気づいていたとの事。どうして知っているのかと尋ねたところrei ssueの瓶がワインボトルの形だからだと…なるほど!と思いました。
長々と書いてきましたが、具体的に説明しすぎる事が野暮ではないか、あるいは抽象的に理解していたものを具体的に理解されてしまい興味を失ってしまう怖さがありましたが、今の時代あらゆるものが速く流れていきます。一つのものを消費したあと再び消費する事も難しい時代です。こちらからの情報から深く理解してもらって再び消費してもらうのが良いのかなとも思います。
ちなみに最近、坂本龍一さんの「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」を読んでご自身の作品等の解説を読むうちにやっぱり説明するの大事だなと思ったというのもあります。あまり聴いていなかったasyncを聴かねばと思わさせられました。
次回は「特別純米」辺りひっそり解説したいと思います。
posted by CHIYO at 14:25|
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