2024年05月23日

R5BY振り返り 3

地震から少し離れた振り返りです。昨年は米の収量が減るほどの猛暑で米が溶けにくい事が予想されていました。多少対策をしたつもりですがやはり米は溶けにくく粕が多くなりました。全体的にアルコールもあまり出ず酒質は良く言えば綺麗目という印象です。

お酒の味わい香りに関しては、長年欠点の改善に意識が向きがちでしたが、ここ最近はもう少し能動的に今年はこんな感じにしようみたいな方向に意識が向いています。

この酒は禅的なイメージで、長谷川等伯のような幽玄な水墨画のように…とかこっちの酒はイデア界に存在する誰もが想像するようなベーシックさを突き詰めた香味にしよう…とか。
つまりマイブームに左右される感じか…。
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R5BY振り返り 2

前回の引き続きになりそうです。地震が起きてからの酒造りも集中を切らさないように努めました。能登の被害の情報に触れつつも
酒造りで時間的にも精神的にも余裕が全くない状況や今後必要となってくるであろう自社の補修補強費用の事を考えると満足に支援ができないもどかしさを感じました。

私自身だいそれた支援みたいなものが得意ではなく、心もそこまで純粋ではありません。行動する前にあれやこれや考えてしまいます。イベントや企画等を通じて大きな支援ができる人はすごいなと思いました。結果にコミットするというのか、もしやこれがプラグマティズム的な考え方なのかとも思い、酒造りが終わったらプラグマティズムの入門書を1冊読んでみないといけないと思いました。

その状況でたまたま今期聴いていたポッドキャストの番組『ほうぼくチャンネル』では別の考え方に触れる事ができました。聖書の中のマタイによる福音書 6章3節 施しをする場合、右手のすることを左手に知らせるなという箇所です。

自分になじむ考え方は後者ですが色々な考えがあるのだと想像します。ところで震災後少し話題になったことで、弊社の立地する滑川市の水野市長が個人的にひっそり炊き出しに参加していたつもりが逆にSNSで大きく拡散され共感されたという事案がありました。なかなか興味深いです。
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R5BY 振り返り 1

酒造りが終わってあっという間に5月の連休が過ぎるというスピード感で、このままではまたすぐに秋が来て冬が来そうです。

R5BYの酒造りを振り返ると大きかったのが能登地方を震源とする地震です。様々な幸運が重なって仕込みの計画を変更せずに酒造りを続ける事ができました。地震絡みの話はまた別の機会に譲ろう…かと思っていましたが、今一番の優先事項としての蔵の修繕や補強が頭にあるためこの話題を続けたいと思います。

地震発生は1月1日の16時過ぎぐらいで、さすがに1月1日は洗米や仕込みはありませんでした。
それでも夕方に醪(もろみ)の櫂入れ、検温作業等がありますので蔵の足場の上で櫂入れしようとした瞬間に揺れはじめ、急いで蔵内の休憩室(2023年1月にリォームで設置したばかり)にダッシュで逃げ込みました。実はこの休憩室は以前風呂場があった場所ですが、その影響からか柱や床がシロアリや湿気でボロボロになっていてリフォームした際に修繕してありました。リフォームしていなかったら完全に崩れていたでしょう。

醪も末期のものばかりでナイロンカバーがしてありナイロンカバーに砂埃が堆積している状況でした。その仕込みタンクの並ぶ側の壁も以前は土壁でしたが、柱が腐ったかシロアリ被害かでボロボロの状態でしたが数年前に一部合板の壁に改修していた事も幸いでした。

特別純米を前日の12月31日に搾ろうか1日に搾ろうか迷って、1日にあまり仕事をしたくないので31日に搾った事も幸運でした。1日の午前には搾ったお酒の処理も済ませており助かりました。

お酒の移動のタイミングを考えていて、(年明けでいいかー)と作業を先送りにしていたのですが、移動先のタンクに小屋裏から樽が落下しナイロンカバーを破っている状態で、酒が入っていなくて良かったと怖くなりました。
このタンクがある蔵(仕込みタンクのある蔵とは別)が1番被害が大きく、土壁がそこそこ剥がれ、柱と壁が傾きました(一部の柱は4/100傾いています)それでも倒壊を免れたのはこの蔵と隣接する蔵(和釜、煙突のある)が鉄筋コンクリートの住宅と鉄骨の倉庫の間に挟まれて建っていたからかなと思います。

他にも細かな被害はありますが、能登の被害と比べるとしょうもなさ過ぎるくらいです。
それ故、支援等は今のところ受ける予定がなく被害が大きく苦しんでいるところに優先して回して欲しいと思っています。補助金という事であれば検討しなくもないのですが…ハードルは高そうです。また生産量が少ないため買って応援等されては困るというのが本音です。なかなかうまくいかないものです。

富山県は地震が少なくあまり対策を考えて来なかったのですが今回の地震を機会に多少の補強やメンテナンスの重要性を痛感させられました。しかしながら、弊社のある場所は液状化が起こる可能性がある場所で、地盤も基礎も良くなく、蔵も伝統工法で建てられていて完璧な耐震化は現実的ではなく、最低限の補修補強にとどめざるをえないように思います。
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