酒造りが終わってあっという間に5月の連休が過ぎるというスピード感で、このままではまたすぐに秋が来て冬が来そうです。
R5BYの酒造りを振り返ると大きかったのが能登地方を震源とする地震です。様々な幸運が重なって仕込みの計画を変更せずに酒造りを続ける事ができました。地震絡みの話はまた別の機会に譲ろう…かと思っていましたが、今一番の優先事項としての蔵の修繕や補強が頭にあるためこの話題を続けたいと思います。
地震発生は1月1日の16時過ぎぐらいで、さすがに1月1日は洗米や仕込みはありませんでした。
それでも夕方に醪(もろみ)の櫂入れ、検温作業等がありますので蔵の足場の上で櫂入れしようとした瞬間に揺れはじめ、急いで蔵内の休憩室(2023年1月にリォームで設置したばかり)にダッシュで逃げ込みました。実はこの休憩室は以前風呂場があった場所ですが、その影響からか柱や床がシロアリや湿気でボロボロになっていてリフォームした際に修繕してありました。リフォームしていなかったら完全に崩れていたでしょう。
醪も末期のものばかりでナイロンカバーがしてありナイロンカバーに砂埃が堆積している状況でした。その仕込みタンクの並ぶ側の壁も以前は土壁でしたが、柱が腐ったかシロアリ被害かでボロボロの状態でしたが数年前に一部合板の壁に改修していた事も幸いでした。
特別純米を前日の12月31日に搾ろうか1日に搾ろうか迷って、1日にあまり仕事をしたくないので31日に搾った事も幸運でした。1日の午前には搾ったお酒の処理も済ませており助かりました。
お酒の移動のタイミングを考えていて、(年明けでいいかー)と作業を先送りにしていたのですが、移動先のタンクに小屋裏から樽が落下しナイロンカバーを破っている状態で、酒が入っていなくて良かったと怖くなりました。
このタンクがある蔵(仕込みタンクのある蔵とは別)が1番被害が大きく、土壁がそこそこ剥がれ、柱と壁が傾きました(一部の柱は4/100傾いています)それでも倒壊を免れたのはこの蔵と隣接する蔵(和釜、煙突のある)が鉄筋コンクリートの住宅と鉄骨の倉庫の間に挟まれて建っていたからかなと思います。
他にも細かな被害はありますが、能登の被害と比べるとしょうもなさ過ぎるくらいです。
それ故、支援等は今のところ受ける予定がなく被害が大きく苦しんでいるところに優先して回して欲しいと思っています。補助金という事であれば検討しなくもないのですが…ハードルは高そうです。また生産量が少ないため買って応援等されては困るというのが本音です。なかなかうまくいかないものです。
富山県は地震が少なくあまり対策を考えて来なかったのですが今回の地震を機会に多少の補強やメンテナンスの重要性を痛感させられました。しかしながら、弊社のある場所は液状化が起こる可能性がある場所で、地盤も基礎も良くなく、蔵も伝統工法で建てられていて完璧な耐震化は現実的ではなく、最低限の補修補強にとどめざるをえないように思います。
2024年05月23日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック